レオノールの脳内ヒプナゴジア レオノールの脳内ヒプナゴジア
2024年1月13日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
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TRAILER
おばあちゃん画像
INTRODUCTION
サンダンス映画祭 審査員特別賞受賞

二つの世界の並行という、驚きのストーリーで待望の初監督を飾るのは、その類い稀な想像力で観客を圧倒するマルティカ・ラミレス・エスコバル。「フィリピンではアクションスターが大統領になるくらい多くの人がアクション映画に影響を受けているのはなぜ?
この不条理に、私はおばあちゃんというレンズを通して優しいアプローチで取り組みました」ときっかけを語る監督。「レオノールのモデルは祖母です。フィリピンの暗い時代を生きた苦労人です。いつも笑顔で愛情深く多大な影響を受けました。暴力や戦争はなぜなくならないのか?レオノールは、暴力でなく愛で立ち向かいます」。現在31歳、21歳から8年の歳月を費やし完成させた。脚本は25稿に及んだ。世界を、人生を愛しむため一生懸命に結末を探し続けるレオノールを、愛とユーモア溢れる視点で描き出している。
カラフルな脳、フォトコピーする幽霊、妊娠した男性など生者と死者の境界が曖昧なエスコバルワールドに酔いしれる奇想天外メタコメディ。世界中の映画祭を席巻した感涙のアクション・エンターテインメント、ついに日本上陸。

<脳内アクションスターのおばあちゃん>という唯一無二のキャラクターをチャーミングにエネルギッシュに演じ、その圧倒的な存在感が絶賛されたのは、本作で主演デビューとなるシェイラ・フランシスコ。フィリピン人として初めてロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターで公演した名優だ。

「今年の最も素晴らしくオフビートなデビュー作」(ロスアンゼルスタイムズ)、「SFのピンチで攪拌され、メロドラマのノスタルジアを浴びたアクション。ダグラス・サークがカンフーアクション映画でペドロ・アルモドバルと結合したような作品」(EXAMINER)、「映画制作にまつわる愉快なメタフィクションであると同時に、90年代のフィリピン製アクション映画へのラブレターでもある」(大阪アジアン映画祭)など世界中が、混乱しつつも、激賞

ストーリー画像 「トシヨリを甘く見ると痛い目にあうよ」 「見事なメタコメディスリラー」「映画の魔法と愛の力」「メタでとても楽しい」
フィリピンの新鋭が脳内アクションスターのおばあちゃんを描く奇想天外メタコメディ
STORY

かつて映画監督だったレオノールも72歳になり今では電気代も払えずにいた。彼女の二人の息子のうち兄ロンワルドはずっと以前に事故で亡くなっており、残された弟ルディも仕事で遠くに行くことになった。そのせいでレオノールは精神的にも落ち込んでいた。

そんなある日、新聞に掲載されていた脚本コンクールを目にした彼女は、現状を抜け出すために映画脚本の執筆に取り組み始める。その内容は「殺された兄の仇を弟が討つアクション映画」で、昔に書いたものの未完で終わっていた作品でもあった。脚本のアイデアを考えながら歩いていると、運悪く近所のカップルが投げたテレビが降ってきてぶつかってしまう。

その結果、レオノールはヒプナゴジアに陥り現実と物語の世界を行き来するようになってしまった。その物語の世界とは、先ほどまで執筆していた仇討ちアクション映画の世界だった。レオノールは自分で書いた脚本の世界に入り込んでしまったのだ。
ストーリー画像
レオノールは物語の世界で、兄の仇を討とうとする主人公と出会い共に旅をする。現実世界では、意識を失って入院しているレオノールをルディが看病をしていた。物語の世界では、レオノールは息子を亡くした女性と出会う。そこでレオノールは言った「私もロンワルドを撮影中の事故で亡くしてしまった」と。この未完の物語は亡くなったロンワルドへの贖罪の物語でもあった。

ルディは今まで母親に対して冷たく応対していたことを悔い、レオノールを脚本の世界から引き戻そうとするが、レオノールは病室からもいなくなってしまう。ルディは現実の世界でレオノールを見つけようと奮闘する。かたやレオノールは物語の世界で未完脚本の結末を見つけようと奮闘する。過去に中途半端で終わってしまった自作品への納得のいく結末を……

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STAFF
マルティカ・ラミレス・エスコバル
監督・脚本マルティカ・ラミレス・エスコバル

マルティカ・ラミレス・エスコバル、通称マーティ。 1992年マニラ生まれ。奇想天外なものに対する彼女の愛情は、映画や写真を通して最もよく反映されている。フィリピン大学を優秀な成績で卒業した後、彼女の卒業制作「Stone Heart」は、石に恋する人の物語。第19回釜山国際映画祭を皮切りに世界各地で上映され、シネマラヤでは最優秀短編賞を受賞。最新作「Quadrilaterals」は、第9回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭でプレミア上映された。 来日は3回目。1回目は2016年タレンツトーキョー、2回目は2018年家族で旅行に福岡へ。

Comment

私は、混沌とした、しかし個性と謎に満ちた魅力的な都市、マニラで生まれ育ちました。少し前のことですが、法律や統治に関する素養のない有名なアクションスターが、第13代フィリピン大統領に就任しました。当時6歳だった私は、少女として、有名な人が選ばれるのは自然なことだと感じていました。それから数十年、さらに2人の「アクションスター」が大統領になった今、私はこの不条理な現実に疑問を感じ、映画への愛と重ね合わせれば、こんなに簡単に理解できることに驚いています。
私たちがフィクションを愛するのは、それが私たちの現実を曖昧にしてくれるからだという啓示です。私が何日もかけて映画を見るのは、起きている現実には決して存在しないような場所に連れて行ってくれるからです。したがって、この映画は、自分が書いた映画の中に入り込んでしまう作家・監督の話であり、映画の効果や、フィクションの中にしか存在しない人生に対する私たちのロマンチックな観念を具体化したものであると言えるでしょう。したがって、もし私が崖から飛び降りる前に1本映画を作らなければならないとしたら、映画と私の関係、つまり映画がいかに私をいろいろな場所に連れて行き、私を正気に保つかをテーマにしたいと思います。

プロデューサーMario Cornejo、Monster Jimenez
撮影Carlos Mauricio
美術Eero Francisco
編集Lawrence S. Ang
音響Corinne De San Jose
アソシエイト・ディレクターMikee dela Cruz

CAST
シェイラ・フランシスコ
レオノール役シェイラ・フランシスコ

シェイラ・フランシスコは、フィリピン人として初めてロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターで公演を行い、絶賛された。2001年、ロジャース&ハマースタインの「南太平洋」のリバイバル公演で、トレバー・ナン卿に選ばれ、ブラッディ・メアリー役を演じた。 また、2007年から2008年にかけては、同作品のツアー公演をイギリス全土で行った。本作は初の映画出演作品。72歳。

Comment

レオノールには超能力が与えられましたが、それはとても羨ましい話です。
この映画を作る旅は、本当に楽しかったです。マーティはいつもクールで、周囲を勇気づけ、そしてポジティブでした。彼女の奇抜なアイデアと、オープンで協力的な仕事ぶりが私は大好きです。

ルディボン・カブレラ
ロンワルドロッキー・サルンビデス
死んだロンワルドアンソニー・ファルコン
バレンティンアラン・バウティスタ
イサベラレア・モリナ
CREDIT

監督・脚本:マルティカ・ラミレス・エスコバル(初長編監督作品)
出演:シェイラ・フランシスコ、ボン・カブレラ、ロッキー・サルンビデス、アンソニー・ファルコン
2022年/フィリピン/99分/フィリピン語/字幕:日本語、英語
原題:Ang Pagbabalik ng Kwago/英題:Leonor Will Never Die
日本語字幕:細田治和